店舗の閉店や移転にともない、解体工事を検討する場面は少なくありません。十分な知識がないまま進めてしまうと、想定外の出費やトラブルにつながることもあります。そこで本記事では、店舗解体の基本的な種類から工事区分の考え方、費用の目安、事前に確認しておきたいポイントまでを整理して解説していきます。
店舗解体の基本パターン3つ
店舗を閉店したり移転したりする際には、解体工事が必要になることがあります。ただし、どのような解体を行うかはひとつではありません。ここでは、店舗解体でよく行われる代表的な3つの方法について紹介します。内装部分のみを取り除く工事「内装解体」
内装解体は、店舗の中に設置された設備や造作だけを撤去する工事です。たとえば、壁や間仕切り、カウンター、棚、什器などが対象になります。床や天井はそのまま残すケースが多く、工事の範囲が比較的限定される点が特徴です。そのため、工期が短く、費用も抑えやすい傾向があります。次に入る店舗が、ある程度同じ内装を活かせる場合や最低限の撤去で済む場合に選ばれやすい方法です。
構造体だけを残す解体方法「スケルトン解体」
スケルトン解体は、内装解体よりも工事の範囲が広く、内装材だけではなく天井や床、配管、配線なども取り除きます。最終的には、建物の骨組みだけが残る状態になります。自由度が高く、次の入居者が一から内装を作れる点が大きな特徴です。一方で、作業量が多くなるため、費用や工期は長くなりやすい点も理解しておく必要があります。賃貸契約でスケルトン返しが定められている場合には、この方法が求められます。
契約内容に合わせて戻す工事「原状回復」
原状回復は、テナント等を借りたときの状態に戻すことを目的とした工事です。入居時がスケルトンであればスケルトンに、設備付きの状態であれば、その状態に近づける対応が必要になります。そのため、内容は物件ごとに異なり、一律ではありません。貸主との認識がずれるとトラブルになりやすいため、事前に契約書を確認し、どこまで戻す必要があるのかを整理することが重要です。工事範囲を正しく把握することで、余計な費用を防ぎやすくなります。
店舗工事の区分と基本の考え方
店舗の解体や改修を行う際には「どの工事が誰の負担になるのか」を理解しておくことが欠かせません。ここでは、店舗工事で知っておきたい3つの工事区分について解説します。オーナーが主導するA工事の考え方
A工事は、建物の所有者が発注し、費用も負担する工事です。おもにエントランスや共用廊下、共用トイレなど、すべての利用者が使う部分が対象になります。借主が直接関わる場面は少なく、内容もあらかじめ決められているケースが多いです。そのため、店舗側が工事内容を細かく調整することはほとんどありません。建物全体の安全性や統一感を保つ目的で行われる工事と考えると、イメージしやすいでしょう。
指定業者で行うB工事の注意点
B工事は、借主の希望によって行われるものの、発注先は所有者が指定する工事です。費用は借主が負担しますが、施工は決められた業者が担当します。空調設備や防災設備など、建物の中核に関わる工事が多く含まれます。この区分は自由度が低く、費用が高くなりやすい点が特徴です。内容をよく理解しないまま進めると、想定以上の出費につながることもあります。事前に工事範囲と見積もりを確認する姿勢が大切です。
費用調整しやすいC工事の特徴
C工事は、借主が自ら業者を選び、発注と費用負担を行う工事です。店舗の内装解体や原状回復工事の多くが、この区分に含まれます。比較的自由度が高く、複数の業者を比べることで費用を抑えやすい点が魅力です。ただし、建物のルールや管理会社の指示を無視して進めることはできません。事前に承認が必要な場合もあるため、独断で進めず、関係者との確認を重ねることが重要になります。